たけばぬれ たかねば長き 妹
(いも)が髪
このころ見ぬに かき入れつらむか
結ぶにはまだ短くて
結ばずにいると少し邪魔だった君の髪
しばらく見ない間に伸びちゃって
今はキレイに結んでるのかな……
人皆は 今は長しと たけと言へど
君が見し髪 乱れたりとも
みんなは『長くなったね』とか『早く切りなよ』とか言うけど
あなたが最後に見た、そのままの髪でいるの
乱れてても構わないの
橘の 蔭
(かげ)踏む道の 八衢
(やちまた)に
物をぞ思ふ 妹(いも)に逢はずして
たくさんの人が通り過ぎて行く交差点で
ひとり行き場を無くして思い悩んでいるような気分だよ
ずっと君に逢えないからさ……
この三首は結婚したばかりのカップルがやりとりした歌なんですが、そういった、いかにも『幸せ〜』な雰囲気はありませんよね? 実はコレ、お婿さんの方が病気で倒れちゃった、その時の歌なんです。
当時の結婚は、男性が女性の家に通うことで成立していたことはご存知ですよね? ということは、男の人が倒れてしまえば当然ふたりは逢えなくなってしまうワケでして……
う〜ん、なんとも切ない歌です。